2012年4月28日土曜日

03.レコードのクリーニング

レコードの録音で気になるのがノイズで、できるだけきれいな状態で再生するようにしましょう。 

ノイズは編集作業である程度除去することができますが、かなり手間がかかることを考えればなるべく入らないのに越したことはありません。 日頃のお手入れとしては普通のレコード・クリーナーで良く、湿式と乾式のクリーナーがあります。

●レコード・クリーナー:


これは湿式タイプのレコード・クリーナーで、附属のクリーニング液を上のキャップを外して注入し、適度に湿らせて使います。 簡単なインジケーター(緑色の窓)でベルベットの湿り具合を確認できますが、主成分はイオン交換水とのこと。

空気の乾燥した冬場などに乾式のクリーナーを使うと、かえって静電気を帯電させてパチパチ音の原因になりますが、 これだと軽く撫でるくらいで目に見える埃はきれいにとれるし、使ってみた感じでは静電気の問題はありませんでした。 私が以前に使っていたのはこのタイプです。

クリーナーは強くこすると、かえって静電気が起きて埃を溝に押し込むことにもなりますから、軽めに使うのがコツです。 クリーニング液が乾いてからレコードをかけますが、待つのが面倒な方はエアー・ブロアーかスプレー式のエアーで乾かしましょう。 容器が密閉型でクリーニング液の持ちは良いですから、頻繁にレコードをかける場合はこのタイプが良いと思います。

洋服の埃を取るのに使う「マジック・ブラシ」という商品がありますが、レコード・クリーナーに使われているベルベットもあれと同じ原理で、矢印の方向に擦(こす)ると繊維が逆立って埃を取り込み、反対方向に擦ると繊維が寝てしまい逆に埃を付けることになるので、必ず矢印の書かれた方向に動かします。 親指のかかる部分の方が幅が狭くなっているので、普通に持てば向きを間違えることはないでしょう。
※レコードのクリーニングはCDと違い、音溝の彫られた円周に沿ってクリーナーを動かします。 これは畳の拭き掃除と同じことですが、レコードの扱いに不慣れな若い方のために書いておきます。 クリーナーを買えばパッケージに書かれていることですが・・・


audio-technica レコードクリーナー AT-6012

これは湿式と乾式の両方に使えますが、同じ形で専用のクリーニング液が付いていない乾式の方が安く買えますから、湿式で使いたい場合はこちらを選びましょう。 私が現在使っているのはこのタイプです。

クリーナーが台の上に載っているだけなのでベルベットの乾燥が速く、空気の乾燥した冬場だとすぐに乾いてしまうので、クリーニング液が早く無くなるのが難点でしょうか。 頻繁に使うなら密閉型の AT-6017、時々使う程度であればこれで充分でしょう。

使ってみた感じとしては、クリーニング液の注入口が小さいので液漏れがしやすいというのがありますが、プラスティックの台に簡単なブラシが付いているのでベルベットの掃除はしやすいです。 以前はこちらの方が安かったのですが、時々価格が逆転している時があるので安い時に購入しましょう。 
(これはアマゾンより ヨドバシ の方が安い時があります)


オーディオテクニカ レコードクリニカ交換液 AT634

これは60ml.と少量で、すぐになくなるから交換液は必需品ですが、なぜかアマゾンでは扱っておらず、他店だと送料がかかって割高になります。 調べてみたらヨドバシが320円と安く、全国無料で配送してくれるのでそちらへのリンクを貼っておきます。 商品はただ売るだけでなく、後で必要になるものも扱って欲しいものです。



ナガオカ レコードクリーナー CL-116

これはレコード針の老舗(しにせ)ナガオカから発売されている乾式のクリーナーで840円と安く、レコード用のクリーニング・スプレーなどと併用して使います。 
ベルベットの掃除用ブラシも付いていますが、若い頃に使っていた商品がレコード店に行ってみたらまだ置いてあったというような、どことなく懐かしさを感じさせるデザインです。


audio-technica レコ-ドクリーナー AT6012X

これは乾式のクリーナーで、スプレー式の レコード・クリニカ などと併せて使います。
 形は湿式と同じ物で、上のシールをはがすとクリーニング液を注入できるようですが、それなら始めから湿式を購入する方が良いでしょう。



●スタイラス・クリーナー:

オーディオテクニカ スタイラスクリーナー AT-607

これはスタイラス(レコード針)のクリーニングに使います。 ほんのわずかの量で済むから、普通に使えば十年以上もつでしょう。 スタイラスをきれいにするだけでも音は変わるし、レコードも長持ちします。 5百円ほどの低価格の商品だから、一本備えておくと良いでしょう。

※鉄筆のように物を引っ掻く針を英語で "Stylus"(スタイラス)と呼びます。"Needle"(ニードル)は「縫い針」で別物ですね。


●エアー・ブロアー:

ケンコー エアブロアージャンボ 070034

これは主にカメラのレンズ用ですが、レコードの埃を吹き飛ばしたり、湿式クリーナーのクリーニング液が付き過ぎた時にレコードを乾かしたりと、結構色々な用途に使えます。 これも五百円くらいの物ですが、一本あると何かと便利です。 
コロコロと転がるのが難点ですが、私は液晶ディスプレイの隙間に挟んで収納(?)しています。 キーボードの埃なども吹き飛ばせますが、できれば掃除機と併用する方が埃が飛び散りません。


●クリーニング・クロス:

ビスコ33

これは バランスウォッシャー33 という洗浄液と併せて使うクリーニング・クロスです。 評判も良いようですが、何しろ洗浄液だけで5千円くらいするからとても一般的とは言えません。 大抵の人は精製水と消毒用アルコールなどを混ぜて、自分で洗浄液を作っているようです。 


レコードの拭き取りには色々な方法がありますが、安価で安心なのは洗ったガーゼと精製水の組み合わせでしょうか。 うちの近くの薬局で、精製水は500ml.が80円、ガーゼは30cm×1m.の小サイズが100円で、これは半分に切ると、汚れの拭き取り用と仕上げ用に分けて使えます。
それで汚れが落ちなければ、高価な商品を試してみるのも良いでしょう。

●使わない方が良い物:

ティッシュ・ペーパー:  柔らかそうに見えて、素材は木材のパルプが原料ですから、ビニールのレコード表面や溝に傷を付ける恐れがあります。 使うなら木綿が原料のガーゼや化粧用のコットン・パフなどが良いでしょう。

燃料用アルコール(メタノール): レコードの材質は塩化ビニールですから、メタノールを使うと表面が溶けます。 使う場合は多少高くても消毒用のエタノールを精製水で希釈して使います。

水道水: レコードを洗浄するのに精製水を使っているとお金がかかりますが、水道水にはカルキ(消毒用の塩素)や不純物が混じっているので、せめて仕上げだけでも精製水を使って不純物やカルキを洗い流してから乾燥させましょう。 ミネラル・ウォーターも体には良いでしょうが、ミネラル分もレコードには不要です。 精製水を無駄なく使うには、空になったスプレー容器に入れて吹きかけるようにすると、わずかな量で濯(ゆす)ぐことができます。

レコード針のナガオカのホームページで、レコード盤のお手入れについて書かれたページがありますので、参考までにリンクを貼っておきます。
→ レコード盤のクリーニング


洗浄式LPクリーナー DISCO-ANTISTAT

こんな商品もあるのですね。 これはドイツ製で日本での販売価格は17,000円~19,800円ほどしますが、現地でなら半値以下で売られていそうなチープな造りです。

一見良さそうに見えるのですが、やっていることは歯ブラシによる手洗いと似たようなもので、洗浄液の購入や液の後始末のことを考えると、数枚程度なら手洗いした方が良さそうです。


更に 全自動レコード・クリーニング・マシーン なるものもあって、34万円くらいするそうですが、これは完全に業務用ですね。

コイン・ランドリーみたいに100円入れるとレコードが1枚洗える機械があるなら試しに使ってみたい気もしますが、購入するくらいなら千円のCDを340枚買う方を選ぶでしょう。



●レコードの洗浄:
レコードの洗浄については色々なやり方がありますが、まずはカビだらけになって捨てるしかないというような、駄目で元々のレコードで試してみると良いでしょう。 私の場合、レコード・クリーナーでこすったくらいでは汚れの落ちなかった針飛びするレコードが、洗浄で蘇ったということがありました。 もっとも洗浄で落とせるのは汚れや溝にたまった埃などで、傷が付いてしまったレコードは救いようがありません。

レコードは塩化ビニールが原料ですから、傷を付けないように気を付ければ水洗いすることもできます。 レーベル面も(破れかけているものを除き)多少濡れたくらいでは問題ありませんが、強力な洗剤やアルコールなどを使うと印刷インキが溶けることがあるので注意が必要です。 最初は水と、薄めた洗剤液に柔らかめのブラシでやってみると良いでしょう。

レーベル面が気になる方は、レーベルを保護するカバーを作っている人もいるので、こちらを参照して下さい。
→ レコード盤洗浄用保護ディスク
→ レーベル・カバー

レコードの洗浄を行っているサイトへのリンクを貼っておきますので、興味のある方は参考にして下さい。 やり方は人それぞれですが、できるだけお金をかけず、レコードも傷を付けずきれいになるのがベターです。 あまり細かいことにこだわり始めるとレコードを扱うのが嫌になってしまうでしょうから、あくまでもカビや汚れのひどいレコードの救済用としておきます。
→ サウンズが使っているレコード・クリーニング方法

●レコードの洗浄効果:

レコードの洗浄効果については、録音したウェーブ(波形)の曲と曲の間を見ると良く分かります。 画像の上の部分は古いレコードをクリーナーで拭いただけで録音したものですが、本来無音状態にある曲間がノイズに埋もれて、「ポツ、ポツ」というレコード特有のノイズも入っていました。 
こうした状態の音を編集作業で直すのは手間がかかるので、消毒用アルコールを精製水で1:3に薄めたものとブラシを使って軽く洗い、流水で流した上で、精製水で濯(ゆす)いでガーゼで拭き取り、乾燥後にレコード・クリーナーで拭いてから録音したのが下の波形です(画像編集していますが、どちらもLチャンネルで同じ曲)。 

これだけでも曲間のノイズが減っているのが分かりますが、それだけでなく両方を聴き比べてみると、洗った後の方が全体的に音がクリアーになっていました。

 これは同じようにして洗った別のレコードですが、状態が良いと曲間がほとんど無音状態になり、まるでCDの波形みたいです。 うまく洗えるとかなり音が変わって新品の頃みたいな気分になりますが、これがレコードを自分で洗える醍醐味でしょうか。 
私もまだ試行錯誤の状態ですが、レーベル面さえ気にしなければそれほど難しいことではないので、その内レコードの洗浄についても書いてみたいと思っています。