2012年4月24日火曜日

07.レコードの洗浄

レコードの材質は塩化ビニールなので、水洗いすることができます。 問題は紙のレーベル面ですが、これも少し濡れたくらいでは剥がれたりしません。

古くなってノイズが出たり、黴(カビ)が生えたレコードでも(傷さえ付いていなければ)、洗浄することでクリアーなサウンドが蘇えることがあります。 レコードの盤面に傷を付けないよう注意すれば、それほど難しいことではありません。 最初はカビだらけで捨ててもいいような、要らないレコードで試してみると良いでしょう。

【お試しセット】(左から)
●消毒用アルコール(エタノール):100ml. 300円
   (※燃料用のメタノールは不可。 レコードの盤面が溶けます)
●精製水:500ml. 80円
   (※水道水はカルキや不純物を含むので、あまり良くないです)
●ガーゼ(30cm.×1m.) 100円
   (※ティッシュは木材が原料なので、盤面を傷つける怖れがあります)

アルコール50ml.に精製水150ml.を加えて洗浄液を作ります。 私はそれに中性洗剤を2~3滴加えていますが、それを空のスプレー容器に入れておきます。
(この洗浄液はペーパータオルに吹き付けると「除菌ウェットティッシュ」になるので、冷蔵庫や電子レンジの拭き掃除とか、パソコン用キーボードの汚れ落としにも使えます)

ガーゼ(綿100%)は半分に切って、拭き取り用と仕上げ用に分けて使っていますが、余裕のある方は二つ買いましょう。 洗って干しておけば何度でも使えます。

1.洗浄液を入れたスプレー容器
2.精製水を入れたスプレー容器: (水洗いした後の仕上げ用)
3.古くなったレコード・クリーナー:もしくは毛先の柔らかいブラシ
4.拭き取り用のガーゼ

とりあえず、これだけ用意すればレコードが洗えます。 洗浄用のブラシは毛先の柔らかいものなら何でも良いのですが、現在は古いレコード・クリーナーを使っています。

これは先細歯ブラシ(デンター・システマ)の使用済みヘッドを8個、割り箸に貼り付けたスペシャル・ブラシ。 (チープ過ぎ?)

歯ブラシで頬を撫でると痛いけど、8個並ぶと接地面積が広がるので全然痛くありません。 これで幅8cm.になるので、LPの音溝をほぼカバーできます。 柄の部分はむしろ不要で現在はカットして使っていますが、ブラシのヘッドとヘッドの間は少し隙間が開いているので、ブラシの向きを斜めにして動かします。 
何度かやっているうちに段々と洗い方のコツがつかめてきますが、結構力を入れても大丈夫で、むしろきれいに洗えることが分かってきました。 ブラシは溝の彫られている円周に沿って動かしますが、双方向に動かす方が汚れがよく落ちるみたいです。


他にあると便利なのが化粧用のコットン・パフ。 これは綿100%のもので、仕上げの拭き取り用に使っていますが、毛羽も立たずきれいに拭き取れます。

これはさすがに使い捨てで、いかにケチな私でも洗ってまた使うようなことはしません。
(たぶん・・・)




【レコードの洗浄】

レコードをタオルの上に置き、洗浄液をまんべんなく吹き付けます。 水だけだと弾かれますが、中性洗剤が少し入っているのでムラ無く広がります。 このままで汚れが浮いてくるまで2~3分待ちましょう。 (片手撮影のため、左手を使用)

次に古いレコード・クリーナーで、円周に沿って盤面を拭きますが、これはレコードのクリーニングと同じ要領です。 裏面も同様に拭きますが、これがなかなか気持ち良いのですね。

その後、流水で洗い流します。 片手撮影のために左手で押さえているだけですが、この濯(ゆす)ぎの時にもレコード・クリーナーを使えば、溝の汚れが更にきれいになるでしょう。

濯ぎが終わったらタオルの上に置き、乾いたガーゼで水道水を拭き取ります。

その後、仕上げ用に精製水をたっぷりと吹き付けます。 これは水道水に含まれているカルキや不純物を多少なりとも洗い流すためで、やらないよりはマシでしょう。

水気を切ったら別の乾いたタオルの上に置き、乾いたガーゼで拭き取った後、仕上げ用のコットン・パフ(上)で円周に沿って拭き取ります。

最後に自然乾燥させますが、これはフローリング(板床)の溝を利用してレコードを立て掛けています。 両手で持って「パタパタ・・・」とやっても良いのですが、間違って傷を付けると大変なので自然に乾くまで待ちましょう。 特にレーベル面は良く乾かして下さい。 (ドライヤーは厳禁)

 このダック(あひる)・レーベルは25年前のエリック・クラプトンのレコードですが、洗ったらほとんどノイズが出ず新品の頃みたいになったので、曲の前後を編 集するくらいで簡単にデジタル化することができました。 録音の状態は別として、レコードの材質に関しては国内版の方が良いみたいです。


(かび)の生えたレコードは、洗浄でよみがえるのか

レコードを洗浄すると「どれくらい音が変わるのか」―を試してみようということで、「できるだけ汚いレコードはないか」と探してみた結果、10年以上聴かずにいたクラシックのレコードに黴(かび)の生えていたのを発見。  

写真では分かりにくいですが、あちこちにポツポツとカビが生えています。 こうしたレコードはクリーナーで拭いたくらいでは「プツッ」というノイズが出ますが、おそらく黴がビニールの中にまで根を張っているからでしょう。

こうしたレコードをクリーニングすると、せっかく買った新しくレコード・クリーナーが汚れてしまうだけでなく、他のレコードに黴の胞子を付けることにもなりますから、洗浄用にしている古いクリーナーにクリーニング液を多めに付けて拭いています。 これだけでも見た目はきれいになりました。

※クリックで拡大
上はレコードを拭いただけで録音したもの。 
下は洗浄した後レコード・クリーナーで拭いて、一度針を通してから録音したもの。

どちらも針を落とした最初の部分ですが、無音部分のノイズがかなり減少していることが分かるでしょう。 (レコードは盤面を針がこするので、完全な無音状態にはなりません)

※クリックで拡大
上が洗浄前、下は洗浄後の画像で、どちらも第二楽章と第三楽章の間の無音部分を表示していますが、見た目でもノイズが減少しているのが分かります。

実際に聴いてみるとかなりの違いがありますが、残念ながら黴が生えてしまったレコードは大抵「プツッ」というノイズが入ります。 これは何度洗っても同じだから、多分溝の一部が黴の根でやられてしまったのでしょう。 そうなると編集作業でノイズを削除するしかないので、そうなる前に時々レコードを出して聴いてあげるのが一番の予防策です。

ちなみに黴の生えたレコードの袋は中に黴の胞子が入っているから、レコードを洗った後は新しい袋に替えておきます。 新しい袋が無い時は、アルコールを薄めた洗浄液をコットン・パフなどに吹きつけて中を良く拭いてから、 干して乾燥させた後で袋に収納して下さい。
昔のレコードは紙袋に入っていたので通気性が良かったのですが、ポリ袋は通気性がなく密着するので黴が生えやすいのでしょう。

 ところで、レコードを洗浄した後で、仕上げに紙のレーベル面を拭いたら、赤い色がパフに少し付いたので色が落ちたみたいです。

印刷の状態や経年変化などもあるのでしょうが、レーベル面が気になる場合はそれを保護するカバーを作っている方がいるので、そちらを参照して下さい。

→ レコード盤洗浄用保護ディスク
→ レーベル・カバー